銑鉄鋳物の種類


銑鉄鋳物にはどのようなものがあるのか?

高炉で生産される銑鉄と同様に、鉄の中に炭素や珪素を多く含有しており、且つ、銑鉄を原料とし生産されることから「銑鉄鋳物」と称していますが、別名として「鋳鉄」ともいわれています。
この銑鉄鋳物には、その製造方法により「ねずみ鋳鉄」「球状黒鉛鋳鉄」「可鍛鋳鉄」 などがありますが、先ず、その違いについて説明します。

可鍛鋳鉄

ねずみ鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄は鋳造した時点 で、黒鉛を生成させますが、可鍛鋳鉄では炭素や珪素成分を低く調整し、鋳造時点では黒鉛は生成させず、鉄と炭素の化合物であるセメンタイト組織とします。その後、熱処理することでセメンタイトから鉄と炭素を分離し、黒鉛を生成させます。
この熱処理の方法によって、「黒心可鍛鋳鉄」や「パーライト可鍛鋳鉄」更に「白心可鍛鋳鉄」などに分類されます。

鋳造時の顕微鏡組織
鋳造時の顕微鏡組織

 

「黒心可鍛鋳鉄」・・2段階の熱処理を行います。

  • 第1段階では930 ~950 ℃の温度で20~25時間かけてセメンタ イトを分解し黒鉛を生成させます。
  • 第2段階では700 ~750 ℃、25~40時間で黒鉛以外の鉄の部分を柔らかいフェライト組織にします。

黒心可鍛鋳鉄の顕微鏡組織
黒心可鍛鋳鉄の顕微鏡組織

 

「パーライト可鍛鋳鉄」・・2段階の熱処理を行います。

第1段階の熱処理は黒心可鍛鋳鉄の場合と同様ですが、その後の処理方法には目的によって各種あり、一例を示します。

  • 第1段階;930 ~950 ℃、20~25時間で黒鉛を生成させた後、油焼き入れ又は空気中で強制冷却します。
  • 第2段階;650 ~720 ℃、0.5 ~6 時間で黒鉛以外の鉄の部分を強いパーライト組織とします

パーライト可鍛鋳鉄の顕微鏡組織
パーライト可鍛鋳鉄の顕微鏡組織

 

「白心可鍛鋳鉄」

この鋳鉄は鋳造後の熱処理で含有している炭素を除去し(脱炭)、鋼と同じように黒鉛のない組織としたものです。
熱処理;酸化鉄、更に酸化性の強い雰囲気中で1000~1050℃で40~70時間保持します。鋳鉄中の炭素は拡散により酸化脱炭されます。
この方法は固体間の脱炭であるため、大きな(厚肉)鋳物には適しません。
この可鍛鋳鉄の日本国内での生産は明治末期に始まり、ねずみ鋳鉄にない高強度を有していたため、強靱鋳鉄の代表格となります。又、国内での生産量の大半は黒心可鍛鋳鉄で占められています。
しかし、球状黒鉛鋳鉄の普及と共に、コスト更に材質的な面から、球状黒鉛鋳鉄に切り替わりつつあります。

白心可鍛鋳鉄の顕微鏡組織
白心可鍛鋳鉄の顕微鏡組織