溶解方法


電気炉溶解

銑鉄鋳物の溶解用電気炉としては、低周波誘導電気炉が主に使用されていますが近年になって溶解速度が早く、電力原単位の優れた高周波誘導電気炉の設置が増加しつつあります。その他、一部にアーク炉が使用されています。
このような電気炉溶解はキュポラ溶解と異なり、排出ガスが少なく公害防止設備設置費用が安価であること、更に単に溶解するだけであり、成分調整が簡単にできることから、安価な原材料が使用可能ということで急速に普及し、現状では銑鉄鋳物の生産の半分以上は電気炉溶解となっています。

るつぼ型低周波誘導電気炉

溶解原理は電磁磁石と同じく、鉄心の周り にコイルを巻き付け、そこに電気を流すと鉄心に誘導電流が生じ熱を発生することを利用しています。
溶解の場合、直接、鉄にコイルを巻き付けるわけにはいきませんので、溶かす鉄とコイルの間に耐火物でできたるつぼを設置しています。流す電気は家庭用と同じ50or60サイクルの周波数の低いものです。
この炉には、溶解を主目的にしたるつぼ型と溶解した溶湯を保温しておくことを主目的にした溝型があります。
この炉は冷材から溶解する場合、スターティングブロックという大塊の地金を装入する必要があり、通常は溶解した溶湯をある程度、炉内に残し次の地金を追加装入する方法で操業します。
周波数の低い、この炉では溶湯の盛り上がりによる攪拌力が強く、安全上高電力の入力が出来ず、後述の高周波誘導電気炉に比較し溶解能力が若干劣り、且つ電力原単位も多くなります。
但し、強攪拌力により添加成分元素の調整が容易となります。

るつぼ型低周波誘導電気炉

みぞ型低周波誘導電気炉

るつぼ型のようにるつぼ全体に誘導コイルを設置せず炉体の一部にインダクタという誘導電流で加熱する発熱体を取り付けた炉です。
主にキュポラやるつぼ型誘導炉で溶解した溶湯を保温しておくために使用されますが、高電力インダクタの出現により、一部溶解用にも使用されるようになりました。

みぞ型低周波誘導電気炉

高周波誘導電気炉

溶解原理としては低周波炉の場合と同様ですが、使用する電気は150~3000サイクルと高サイクルです。
低周波炉と比較した特徴としては、

  1. 小さな装入地金でも溶解可能でスターティングブロックが不要。
  2. 急速溶解が可能で、目的の高温、高歩留りで操業できる。
  3. 高速溶解が可能であるため、設備の小型化ができる。
  4. 高周波を発生させるサイリスタの開発で、電源効率が高く、設備 費が安価となった。

などにより、近年急速に普及しています。
この炉では高サイクルになるほど、溶解速度は早くなりますが溶湯の攪拌力は弱くなり、溶解終盤での加炭剤などの溶込み難い傾向にあります。 このようなことから溶解速度、攪拌力共に確保する意味で、200サイクル程度の中周波炉を設置する工場もあります。

高周波誘導電気炉

アーク炉

アーク炉にはアーク電流が溶解原料に直接流れる3相アーク炉(エルー式)や、炉底に電極を有するジロー炉などがありますが、一般的にはエルー式が使用されています。しかし、鋳物溶解用としてアーク炉は特殊な場合を除いてあまり使用されていません。

アーク炉