溶解原材料

 

「銑鉄鋳物の成分範囲」
成分 成分範囲(%)
炭素(C) 2.0〜4.0
珪素(Si) 0.5〜3.0
マンガン(Mn) 0.2〜1.0
リン (P) 0.03〜0.08
硫黄(S) 0.01〜0.12

銑鉄鋳物の主成分は鉄、炭素、珪素、マンガン、りん、硫黄ですが、その外に各種特性を出すために、特殊な合金元素を加えることがあります。基本的には鉄の中に良好な黒鉛を生成させるため、ベースは炭素と珪素となります。
即ち、炭素は黒鉛の基になるものであり、珪素はこの炭素を黒鉛に変えるための働きをします。
硫黄は銑鉄鋳物を脆くしますが、マンガンがこの硫黄の害を中和する働きをします。りんは溶湯の湯流れを良くしますが、多すぎると硬くて脆い鋳物となります。このようなことから、使用する原材料については適切な選択が必要となります。
又、近年になって日本工業規格とは別に、りん、硫黄などが極端に少ない高純度銑、更に、本ホームページの表題となっている 共晶組成で溶解性能の優れたキャスタロイなどが生産されています。


▼鋳物銑

鋳物用銑鉄の規格(JIS G2202)
種 類 C% Si% Mn% P% S% Cr%
1種 1号


3.40≦
3.40≦
3.30≦
3.30≦
1.4〜1.80
1.81〜2.20
2.21〜2.60
2.61〜3.50
0.3〜0.9
0.3〜0.9
0.3〜0.9
0.3〜0.9
0.30≧
0.30≧
0.30≧
0.30≧
0.05≧
0.05≧
0.05≧
0.05≧



2 号 3.30< 1.4〜3.5 0.3〜1.0 0.45≧ 0.08≧
3種 1号


3.40≦
3.40≦
3.40≦
3.40≦
1.0≧
1.01〜1.40
1.41〜1.80
1.81〜3.50
0.40≧
0.40≧
0.40≧
0.40≧
0.10≧
0.10≧
0.10≧
0.10≧
0.04≧
0.04≧
0.04≧
0.04≧
0.030≧
0.030≧
0.030≧
0.030≧
2 号 3.40≦ 3.5≧ 0.50≧ 0.15≧ 0.045≧ 0.035≧

「可鍛鋳鉄用の2種銑はほとんど生産されていないため省略」 鋳物用銑鉄の規格(JIS G2202)

銑鉄には銑鉄鋳物に必要な黒鉛を多量に含有しており、銑鉄鋳物生産には優れた材料ですが、鋼屑との価格差によって使用量は以前の40%程度から、現状では10%程度に配合%は減少しています。

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▼鋼屑
ねずみ鋳鉄では強度を高くするには、炭素量を低くする必要から炭素の低い鋼屑が配合されます。又、市況によっても変わりますが、銑鉄に比べ材料費としては安価であるため、現状では40%程度配合使用されています。
鋳物には解体などで発生した老廃屑などはあまり使用されず、鋼材の加工で生じる加工屑が主に使用されています。
キュポラ用としては、溶解時に酸化減耗があり肉厚の鋼屑が適しており、誘導電気炉などでは安価な薄肉の鋼屑も使用されています。
しかしながら、近年の鋼材の高級化に伴い、鋳物の品質にとっては不都合な合金元素が多く含まれるようになりました。従って将来的には鋳物に適した鋼屑の入手が困難になりつつあるといえます。


▼戻り屑

鋳物の生産では、鋳造時の湯口や押湯、更に不良品の発生など、自工場内で戻り屑が約30%程度発生します。自工場内で発生する屑であるため、成分的にもはっきりしており、回収し再使用されます。


▼故銑

古い機械類などを解体した場合の鋳物の屑を故銑といいます。    
成分が明らかであれば配合材料として使用できます。しかし、現実的には不明なことが多く多量配合には成分のバラツキの原因となるなど問題があります。


▼合金鉄、その他

銑鉄鋳物には主要成分として炭素、珪素、更に、マンガンなどが必要ですが、これらの成分が少ない鋼屑の多量配合に伴い、不足分を補給する必要があります。
このため、
  1. 炭素成分・・キュポラ溶解では燃料のコークスから吸炭しますから必要ありませんが、電気炉溶解で鋼屑配合の多い場合は加炭剤を添加します。
    加炭剤としては、電極屑、更に ピッチコークスを加工した加炭剤などがあります。
    尚、電気炉溶解で問題となる窒素が多い加炭剤がありますので注意が必要です。
  2. 珪素成分・・・珪素を50or75%含有したフェロシリコンを添加します。
  3. マンガン成分・マンガンを75%含有したフェロマンガンを添加します。
これらの3成分の他に、鋳物の強度アップ、更に様々な性質改善のため、いろんな合金が添加使用されています。
1例として銅、フェロクローム、フェロモリブデン、フェロニッケルなどがあります。


▼コークス

コークスはキュポラ溶解の燃料として使用されます。鋳物用コークスとして日本工業規格で定められていますが、一般に灰分10%以下で適当な強度のあるものであれば操業上問題はありません。大きさとしては溶鉱炉の場合と異なり、送風機能力の点から大塊(100mm以上) のものが使用されます。


▼石灰石

キュポラ溶解ではコークスの灰分、更に耐火物の溶損などによって、珪酸質のスラグが発生します。このような珪酸質の多いスラグは融点が高く、キュポラから排出できず、溶解操業ができなくなります。そこで、このスラグの融点を下げキュポラから流出しやすくするために灰石を配合装入します。
添加量としてはコークス中の灰分によって異なりますが、灰分10%程度であればコークス配合量の 10%程度となります。


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